協会設立までのストーリー

パッククッキングでワクワクした「食」を伝えたい

パッククッキングで
ワクワクした「食」を
伝えたい

はじめまして。
パッククッキング協会ジャパン代表理事 池田奈央です。

「食」に関わる仕事を始めて、18年。パッククッキング講座を伝え始めて10年以上。
現場で感じてきたことを少しずつ形にしてきて、
一般社団法人パッククッキング協会ジャパンを設立するまでの経緯をまとめました。

「食」を仕事にしたきっかけ

私は、生まれも育ちも香川、根っからのうどん県民です。

10代のころは「香川県なんて、うどんしかない」と思っていました。

地元の短大を卒業後、商社勤務をしていましたが、「自分で作ったモノ(技術)を売りたい」との思いが強くなり、退社。

子どものころ、母がこだわって作ってくれた「手作り料理やケーキ」の思い出が強くあって、心が温かくなる「食」に関する分野を仕事にしていこうと決めました。

ただ、料理人や飲食店ではない形で「食をテーマにオリジナリティのある仕事ができないかな?」そんな考えを持っていました。

無店舗ケーキ店として独立開業

開業したのは、完全予約制&無店舗でのケーキ店とケーキ教室

当時はカフェブームが四国にも来ていた時期だったので、一般向けケーキ販売に加え、カフェにケーキの卸販売、さらにカフェ開業を目指す方向けに、ケーキの製造指導を行っていました。

これまでに指導した生徒数は1,000人以上になります。

料理が苦手な人でもできる料理教室へ

「なぁ~ちぇ」料理教室&ケーキ教室をスタート。
”レインボーカラーで食卓に潤いを!”をテーマに
・家庭ですぐに実践できる調理方法
・意外と知らない野菜の豆知識
・シンプルで彩り豊かなレシピ 
を提案。

そんな私は、実はもともと料理を作ることは好きではないんです。
「料理が好きじゃない、苦手!」と思っている人にこそ「簡単に出来るよ」ということを伝えることが私の使命だと考えるようになります。

だからこそ、私の料理はいつも
「時短で効率よく、でも見栄えよく」
という考えが根底にあります。

想いを伝えるツールが食になる

野菜ソムリエとなり地元野菜の魅力に気付く

小さい頃は嫌いだった野菜も、料理教室で野菜を扱うようになってすっかり大好きに。

野菜ソムリエの資格を取得(のちに野菜ソムリエPro)したことをきっかけに、地元の香川県には美味しい野菜や果物があることにようやく気がついたのです。

「うどんしかない」と思っていたけれど、地元の食材こそ香川県の魅力だと再発見し、料理教室のコンセプトを「野菜ソムリエ料理教室」に変更しました。

料理のやり方よりも、野菜や果物など地産食材を通じて、生まれ育った土地の魅力を伝えたいという気持ちがどんどん強まっていきます。

私の想いを伝えるツールが「食」なんだとはっきり認識したのもこの頃です。

東日本大震災をきっかけに

2011年3月に起こった東日本大震災。
震災という大きな出来事で、農作物への風評被害や災害時の食のありかたを考えさせられました。
そして働き方、生き方…多くの人がそうであったように、色々な価値観が変わるきっかけにもなりました。

「食」に関しては、何を食べるかも大切ですが、誰とどんな風に食べるのかがもっと大切。

ただお腹を満たしたり、味が美味しい食事というだけではなく、これからは「楽しい食」を伝えたいと想いを強くしました。

このあたりから、料理教室という枠を出てさまざまな団体や企業とのコラボイベントで「楽しい食」を表現するよう、活動の場を広げていきました。
【イベントの一例】
*2013年 『女性の健康と美をピンクリボンで繋ぐ』乳がん啓発イベント
*2014年 ニッカウヰスキー創立者竹鶴政孝に学び『ウイスキーの新しい魅力に迫る大人夜会』

防災に特化した
パッククッキング講座をスタート

防災パッククッキング講座

震災後は、防災食講座の依頼が増え、まずは「防災パッククッキング講座」としてスタート

通常の「防災パッククッキング」は、保存できる乾物や缶詰など、備えているものを食べやすく調理するというものですが、たとえ災害時の食事でもそこに「安心」や「楽しみ」、そして「おいしさ」にもこだわりたいのが私流。

そこで、野菜ソムリエProとしてすでに開講していた自家製干し野菜講座とパッククッキングを掛け合わせるなど、非常用の食材だけでなく、いつもの野菜の加工から楽しみを感じてもらえるようにしていました。

例えば、キャベツを洗濯物みたいにピンチハンガーにぶら下げて干し、これをパッククッキングでロールキャベツにしたり。やってみると簡単で美味しい!と好評でした。

一方で、「楽しい食」を目指しているけれど、「防災」というキーワードだけでは、参加者が主に地域防災に関わっている方や、普段から料理に慣れている方が多かったのです。本来、パッククッキングという「簡単に美味しい」が叶う方法を知ってもらいたい、もともと料理が苦手な方・男性・高齢者や子どもにはなかなか届かないものだな…という葛藤がありました。

「防災食は美味しくない」は常識?

防災パッククッキング講座では、試食してもらうと
防災食なのに意外と美味しい」という感想が出てきます。

ということは、「防災食=美味しくない」…皆さんこのイメージが強いということ。

そう考えると、
防災パッククッキングで使っている乾物や缶詰は、果たしてどこの家にも常備しているだろうか?

普段から食べ慣れている食材だろうか?

そういった、日常とは違う食材で作った食事で、本当に災害時に心が和むごはんになるだろうか?

そんな疑問がわいてきて、そこに課題があったんだと気づくことになります。

「防災ありき」にとらわれることなく発想を逆にして、どの家庭にもある材料で調理することで、結果的に防災時にも使える新しい調理法としてパッククッキングを考えたらどうだろう?

防災に特化せず、普段使いの簡単な調理法としてパッククッキングを再定義してみると、普段料理をしていない子どもや男性、お年寄りにでも「楽しい食」を多くの人に伝えられる!

簡単なようでいて、モヤモヤがやっと晴れた想いでした。

「防災」からより広い領域へ

パッククッキング事業の拡がり

2020年、「男女共同参画における課題解決支援事業」にて『食べる力をつける!高校生からの家事シェアプロジェクト』でパッククッキング講座を開講。

初めて「防災」という冠を外してのパッククッキング講座。これが転機になりました。

家事の中でも一番負担の大きい『調理』(*1)をひとり暮らしが始まる前の高校生向けにパッククッキングを提案。

(*1)参考
「いちばん大変だと思う家事」ランキング!既婚男女576人の声を紹介
・一番[大変]だと思う家事 1位「料理」
・一番[大事]だと思う家事 1位「料理」
https://kufura.jp/family/couple/197186
「家事」についてのアンケート
特に負担を感じる家事 ワースト1位「食事の支度」
http://www.ouchiclub.com/result/result24.htm

これは、子育てしながら働いてきた忙しいお母さんからの声がきっかけでした。

「子供に料理を何も教えていないけれど、何から教えたらいいのか分からない、時間もない、今更後悔している。」

共働きが多い時代になり、忙しくて食伝承ができてない、そんな保護者の言葉を聞いて、代わりに社会のどこかで子どもたちに調理を伝える場がなければと考え始める。

2022年には「高松市高齢者居場所作り認定事業者」として、高齢者向けに「自分で作って食べられる」パッククッキング講座を開講。

「作っても余るから、スーパーで買ってます。」
「もう、ごはん作るのも億劫になってきた。」
こんな高齢者の食の課題を改善し、食の自立が簡単にできるのもパッククッキングです。

私が実現したい「食で社会課題を解決」。
パッククッキングでこれが叶うと確信しました。

もっと多くの人に伝えたくて協会設立

2023年3月9日。
より多くの方に、社会課題の解決手段としてパッククッキングを伝えるため、「一般社団法人パッククッキング協会ジャパン」を設立。
理念は、すべての人が『作って食べられる』幸せな社会に。
こんな社会を実現するために、「楽しくてワクワクする食」の提案をしてまいります。